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| ss-02

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街中に弾痕が刻まれ、中央広場には残骸がある。

先日あったAC同士の戦闘での被害である。

残骸の前には、ガード所属の逆間接型MTガードウォーカーが二機居た。

 

「記録によりますと、今回はレッドアームYとスレッジハマーが交戦したとのことです。」

『奴か・・・・叩き潰す対象はACだけにして欲しいもんだな。』

 

「まぁ、ブロックバスターじゃ無かっただけマシと思いましょう。」

『・・・そうだな。』

ガードウォーカー同士の通信は、どこか投げやりであった。

 

いつも通りに戦闘区域は立入禁止となり、回収半が到着するまでの無駄な時間が流れていく。

この区域の使用者は既に避難が完了しており、この第25区画は無人地帯となっていた。

 

機体の残骸を見ていたガードウォーカーのパイロット"クライヴ"は妙なことを口にした。

「主任、アレおかしくないですか?」

『どうした。何か見つけたのか。』

クライヴの機体が向いている先には、コアの中央に穴があいているレッドアームの残骸があった。

 

「いえ・・・あのレッドアームYについた弾痕なんですが、WG-B2128であんなに出来るものかなと・・・・」

『・・・・』

「えっと・・・コクピットの位置に正確に着弾させられるくらいの至近距離で発射したら、信管が作動する前に着弾するので、あんなに大きな弾痕は出来ないんじゃないかと思いまして・・・

どちらにしろ解析班が調べれば解りますが、何らかの外的要因があるように見えまして・・・」

そう言いながら、手元のスイッチを幾つかONにした。

 

『つまりアレか?今回の戦闘には第三者が介在している、と?
     ................
しかも、コアにめり込んだままの弾にピンポイントで命中させられる程の奴が。』
クライヴの上司は、彼が言いたいことを口する。

 

「ではないかと。」

『馬鹿らしい。大体、閉鎖空間に遠距離射撃が出来る場所なんかある分けないだろ。
仮にあったとしても、その場所に着く前に見つかるのが関の山だ。
余計なことは考えずに、解析班が来るまで巡回でもしてろ。』

彼から見れば、“閉鎖空間で完全に身を隠しつつ遠距離からピンポイントで弾丸を撃ち抜く”などと言う芸当は、妄想甚だしい物であった。

 

「そうでもないですよ。」

唐突にクライヴが口を開いた。
同時に彼のガードウォーカーが上司のソレと対峙する位置に来る。

 

「OSC。それがあれば可能です。
遠距離なんて必要ないんですよ。」
そう言いながら数歩下がる。

『は?何を言っているんだ、お前は・・・』
いつもとは違うクライヴの口調に苛立ちを覚えつつ、ゴクリと生唾を飲み込む。

そして、彼とクライヴの機体との間の空間に、まるで地面の放射熱で出来るモヤの様なモノがある事に気が付いた。
非常に透明度の高い磨りガラスがそこに在るかのような、不可思議な映像がモニタに映し出されていた。

 

「なんて、タダの戯れ言ですよ。
想像です。そんな事あるわけ無いじゃないですか。」
陽気な声で通信が入る。

『お前な・・・・・。』
場違いな冗談に呆れた対応をしつつ−精一杯平静を保とうとしてはいるのだが−彼の声には少なからず震えが入っていた。
得体の知れない恐怖が目の前にあるかの様な。

 

再び生唾を飲み込む。

空調がきいていないのであろうか。
彼の背中も、操縦桿を握る手もジットリと汗をかいていた。

喉はカラカラに渇いていた。

 

「ただ、極希に戯れ言にも本当の事があるんですよ。
そう、こんな風にね。」

そう言うと、二機のガードウォーカーの間の空間の一部にACが出現した。

だが、その構成パーツは見慣れない物ばかりであった。

 

『そんな・・・・信じられん・・・・』

 

「光学迷彩とステルス迷彩の合わせですよ。(Optics and Stealth Camouflage)
視覚的にも複合センサー的にも見え無くすれば、そこには居なくなります。
待機モードにでも移行させておけば、まず引っかかりませんよ。」

 

ACの銃口は彼に向けられていた。

赤く光る単眼が自機を見下し、突き付けられた銃口が値踏みする様にユラリと動く。

 

「しかし、こうも上手く行くとはね。流石はASですか」
クライヴはガードウォーカーのハッチを開けながら言った。

“奴はまだ継続中だ。油断するな。”
ASと呼ばれた未確認パーツで構成されたACのパイロットが口を挟む。

 

「ほぅ、流石に針は手強いですか。」
感心したように呟く。
その頭部には、ガードでは支給されていない型のヘッドセットの通信機が着けられていた。

“・・・あまり時間を掛けられそうにないな。wizがしくじったようだ。”

 

「あらら、MP切れですか。で、判断は?」

“問題ない。”

 

 

「・・・ま、そんな事はこの人には関係ないですね。
主任、今まで有り難うございました。」

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数刻後、到着した近隣のガードは、ACと二機のガードウォーカーの残骸を発見する事となった。

しかし、そこに居るべき筈の解析班の姿は見えなかった。

 

−第二話 了−

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