暗闇に浮かび上がる白い肌と、途切れ途切れに上がる微かな声。
机の上に横たわり、男を迎え入れている女の顔には、明らかな喜びの表情が窺える。
肩までの黒い髪が、男の動きと共に揺れる。突き上げられる度に一定のリズムで唇から零れ落ちる声は、苦しげに、そして切なげな響きを持っていた。
もっと、と女の唇から言葉が漏れる。
―――もっとください、私の中を貴方で充たしてください。
その言葉を受け、男の長い絹のように光沢を持った黒髪が、下に組み敷いた女の頬に触れる。男は女の背中に腕を回し上体を起こさせると、女はびくりと身体を仰け反らせた。更に奥まで届いたソレに、女は歓喜の声を発し、白い腕を男の背中に回した。
そのまましがみつくようにして、女は男の動きにあわせて自ら身体を動かしていく。
震える声、甘い―――明らかな快楽を感じている声。ああ、と吐息と共に吐き出された声は、女の快感の大きさを物語っている。
漏れる声が徐々に大きくなり、女の動きも速くなる。女の爪が男の背中に食い込んだ。
―――兄様……っ!!
痙攣するように身体を震わせながら、女は―――ルキアは達した。
乱れた死覇装の胸元から覗く白い肌は汗ばんで、荒い呼吸と共に上下する。
ルキアはくたりと力の抜けた腕をゆっくりと持ち上げ、男―――白哉の頬に触れ、もう一度、
―――兄様……
と呟いた。
その顔は普段の冷たさを微塵も感じさせない、ひどく淫猥な表情だった。
―――それが、流佳の創り出した、毒。
恋しい男をその手から逃がさぬように、目障りな女を排除するために。
流佳は男の心に毒を沁み込ませる。
そして更なる罠を張る―――。
逃がさない、逃げられない
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