あの方はあまりに尊くて、あまりにも美しすぎて、私如きが想いを寄せること自体、不敬に当たると承知しております。
けれど、月のようなそのお姿を遠く見る度、水晶のようなそのお声を耳にする度、私の心はあの方に引き寄せられてしまうのです。
あの少女はあまりにも儚く、あまりにも可憐で……私が心をかけること自体が負担になると承知している。
けれど、花のようなその姿を目にする度、春風のようなその声を聞く度に、私の心はあの少女に魅かれていく。
この想いは罪―――私はあの方に相応しくない。
この想いは咎―――私はあの少女に相応しくない。
私の想いはあの方の迷惑となるだけ―――流魂街出という身分の私には、月を愛する資格はないとわかっております。
私の想いはあの少女を苦しめるだけ―――貴族などという肩書を持つ私には、花を愛する資格はないとわかっている。
だから、誰にも言えない。
口には出せない、言葉に出来ない。
けれど愛しさは募るばかりで、いつでもこの瞳はその姿を求め、僅かな声さえも聞き逃さぬように耳を澄まし。
あふれる想いを抱えきれずに。
月に一人。
花に一人。
誰にも聞かれぬようにそっとその言の葉を口にする。
秘密の言葉、秘密の想い。
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