「うわああああ!!何だコイツ!!!!」
「何だは酷いピョン。私は貴方の運命の相手だピョン」
「な、何?運命?」
「貴方と私は結ばれる運命だピョン」
「俺の運命の相手はルキアだっ!」
 ルキアの義骸に入った義魂丸(便宜上、以降『チャッピールキア』と表記)は恋次にしがみつき、うっとりと恋次を見上げている。
 恋次はといえば、腰に蝉のようにくっついているチャッピールキアを振りほどこうと必死に身を捩るが、チャッピールキアは腕力強化型の義魂丸だったので、中々振りほどく事ができなかった。一護も先程チャッピールキアに押さえ込まれ、完璧に動きを封じられていた。チャッピールキアの腕力は、かなりの物だと言っていいだろう。
 その、恋次とチャッピールキアの攻防を見詰める瞳が二対。
「どうすんだよ、アレ」
「どうする、と言われてもな……」
 その二対の瞳の持ち主は、二人とも黒い死覇装を身に着けた一護とルキアだ。
 破面を撃退し、他の死神たちと合流しようとしたその時、恋次がルキアたちの前に現れた。
 恐らくルキアが心配だったのだろう、義骸に戻らず魂魄のまま、戦いの跡もそのままに、右手に蛇尾丸を下げルキアの元へと駆けつけた恋次を待っていたのは、チャッピールキアの熱烈すぎる歓迎っ振りだった。
「ちょっ、お前、いい加減に……こら、放せ!」
 動きを封じられた恋次は、必死で言葉で牽制するしかない。チャッピールキアは恋次の身体によじ登る勢いだ。
「おーい恋次ー、助けはいるかー」
 とりあえず一護がそう声をかけてみると、「見りゃわかんだろーが、さっさと助けろ莫迦野郎!」と即座に悲鳴のような返答があった。
「恋次というのか!いい名前だピョン」
「は、早くコイツを引き離してくれっ!」
 夜のしじまに大喧騒。
 チャッピールキアの暴走に、他の死神+死神代行は一様に困惑するばかりだった。






next