私は、生まれたときからずっと、私の運命の人……たった一人のその人を探し続けている。
 一目みれば解るはず。胸がどきどきして、きっとじっとなんてしてられない。私はその人の胸に飛び込んでしまうだろう。


 今まで色んな人に会った。それはもう数限りなく。
 けれど、どの人も違うと思った。好きになる所か嫌いと思う人の方が多くて、一体いつ運命の人に会えるのか、悲しい思いもした。
 それでも嫌いな人ばかりではなくて、この人が運命の人だったら良かったのに、と思える人も二人、居た。
 一人は、長い黒髪のその人。
 一瞬、この人が運命の人だと思った程、胸がどきどきしたけれど、気高く美しいこの人は、既に心の中に唯一の女性を住まわせていて、彼にとって私は運命の相手ではなかったという事が解った。
 もう一人は、橙色の髪の少年。
 出逢った時に、何処か懐かしい感じがしたのはどうしてだろう。けれど、彼はまだ幼くて、何も知らない少年のその心に、私の気持ちは姉のようなそれへと変わって行った。
 何処にいるのだろう……どうして逢えないのだろう。
 そんな想いに唇を噛み締め、何気なく振り向いたその視線の先に。

 あの人がいた。

 一目見たとき、息を呑んだ。
 胸の鼓動が急に激しくなって、苦しさのあまり胸を押さえて大きく息を吸い込み吐き出した。
 この人だ。
 私の運命の人。私のたった一人の貴方。
 その人は、黒い死覇装、右手に斬魄刀を持ち、息を弾ませてそこに居た。
 髪は燃えるような赤い色。
 私を捕らえたその瞳も赤い色。
 突然、本当に突然私の前に現れたその人は、ほっとしたような笑みを浮かべた。精悍な顔が、一瞬にして優しく甘く変わったことで、私の胸は更にどきりと脈を打つ。
「無事だったか……ルキア」
 初めて聞くその声も、耳に心地いい低い声。
 一目みれば解る、運命の人。
 胸がどきどきしてじっとしていられない。
 私はきっと、その人の胸に飛び込んでしまう。
 貴方に出会う前、私はそう考えていた。
 そして、その通りに、私は躊躇い無く貴方の胸へ飛び込んでいく。

「見つけたピョーン!」

 運命の相手のその人は、何故か「うわあああ!」と絶叫した。




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