それはありふれた事で
ふと、傍らに常に在るその存在を
特別なものと自覚している自分がいる。
その自覚は無意識で
だから尚更、強固なものだ。
傍にいるのが当たり前の存在。
空気のように
水のように
太陽のように。
それなのに
何故私は
お前の手を振り払ってしまったのだろう。
空気を
水を
太陽を
なくして
生きていける筈がないのに。
声を聞かせて
もう一度、あの日に戻れたら
そう願っても
勿論、叶うはずもなく
私は独り
こうして独り
水と、風と、太陽とに等しいお前を
ただ、想う。
哀しみは唯一つ、
お前が、見えない。
SIDE 「ルキア」
next