一方、怪獣の出現も無くなり順調に進む一行。今は狭い道の中にいる。
『なんかさ〜…最初は綺麗だったけど、ここまでいっぱいあるとクリスタルも飽きてくるよね〜…』
一列になって歩いている中、後ろから二番目のエルクが言葉を漏らす。
「まったくだな…」
先頭に立っているリグも、それに同意した。こんなにまで自分の顔を映し出すものがあると、正直気が滅入ってくる。
「!?」
突然道が開けたかと思うと、6人の前に現れたのは巨大な壁。
その壁はひたすら平らで、6人の姿を映す鏡のようだった。
『なにここ〜…行き止まり〜?』
エルクが『あ〜あ…』というように肩を落とす。
「しょーがねーな。戻るか…。」
リグたちが後ろを振り返ったその時だった。
「!?」
今まで通ってきた道が跡形もなく消え失せたのは。
『戻れないよ〜!?』
エルクが混乱してぱたぱたと腕を振っている横で、何故か楽しそうなヨウ。
『おお〜。大変じゃの〜。』
その様子は、全然大変そうではない。
「とりあえず、なにかないか探してみようよ」
リゲルは鏡にペタっと触れる。
「おいっ!また不用意に変なもんに触るんじゃねぇよ」
リグが駆け寄るが時既に遅し。
「…っえ…?」
壁の中に吸い込まれていく。触れた部分から本来の硬さを失い、水のように溶け、リゲルの体を飲み込んでいった。
「リゲルっ!!」
駆けつけた時には、既にリゲルはここにはいなかった。
『…うそっ…どうしよう…』
立ちすくむリグたち。
だがいきなり後ろから声を掛けられる。
『うぬらはなにをやっておるのじゃ?行ってしまったのなら追いかければいいじゃろう。』
ヨウとインは3人の間をてくてくと歩いていく。
『先に行くぞ』
そう言うと二人は壁に触れ、そしてその中へ飲み込まれていく。
「…俺たちも行くぞ。」
そうリグが言うと三人は歩き出し、そして壁の中に飲み込まれる。
目が回るような浮遊感の中、
周りが真っ白になる。
気が付くとそこは、大きな洋館の中の広いロビーだった。
幸い六人全員そろっているようだ。
「…久しぶりのお客さんだね…」
装飾の施された姿見で、その様子を見ている人物が一人。
「おもてなししなくちゃね…」
クスリと微笑う、傍らにある人形に向かって言った。
「彼らを食堂に案内してあげて。」
人形はカクンとお辞儀をすると、
闇の中へ消えていった。
「…楽しくなりそうだね」
金と銀のグラデーションでできた髪をそっと掻き上げると、
もう一度小さく
クスリと微笑った。
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うさぎばやし
『う…?な、何ココ…』
きょろきょろと、辺りを見回しながらいったのはエルク。たった今までクリスタルの山の中を歩いていたので、目の焦点があわせづらい。ゴシゴシとまぶたを擦り、あらためて周囲を眺める。
『…ここは…』
心なしか焦ったような、困ったような、微妙な表情でリゲルが呟いた。そんなリゲルを見つめ、リグも小さく頷く。
ヨウはパタパタと足を動かし、床に敷かれた高価そうな絨毯を踏んでみた。しっとりとしたその絨毯は、悪趣味にならない程度に豪華で、このロビーの雰囲気を保つのにいい役割を担っている。
『この館もただの“物質”ではないようじゃの〜』
『なんだか変な感じがする…なんだろ?』
しばらく辺りを見回していたエルクが、神妙な面持ちでボソリと言った。
ヴツカはそんな彼女に少し目をやり、しかし少ししてピクリと何かに反応する。音と、気配だ。ヴツカとほぼ同時に、他のメンバーもばっと面を上げ、“そちら”に視線を向けた。
「……何か来たぞ。」
『来たのう』
人間らしからぬ動き。あえて言うのなら、まるで関節がないような硬い動きで。
かたん。
ソレはその場に立ち止まり、光の無い瞳でエルクたちを見つめた。
02/06/15 09:29 『修正』
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管理人
棒のような――否、棒その物の手足で、ソレは動いていた。
人形…これがエルク達の頭に思い浮かんだ言葉。ヨウとインは特に気にかける様子もなかったが、エルク達の方はそうもいかない。
『なになになにっ?!?!』
またしても混乱しだすエルク。リグはただ冷静に『人形』の行動をうかがう。
『人形』はかくかくとした動きで一行の前まで来ると、ぎこちなく一礼して、
「イラッシャイマセ、ゴキャクジンガタ。ゴゾンブンニオタノシミクダサイ」
と、やはりぎこちなくそう言った。
ギョッとしたのはリグとエルク。リゲルはびくびくとして、リグの後に隠れている。ヨウとインは相変わらず平然としていた。ヴツカはいつでも攻撃できるように隙なく構える。
一方『人形』はカクカクと痙攣をし始めた。そして。
パンッッ!!
『『『!?』』』
一行の目の前で、破裂した。しかしそれだけでは事は終わらず、破裂した『人形』の破片はそれぞれか小さな『人形』を形作って再び動き出したのだ。
『な、なにこれ…気持ち悪い』
エルクが口に手を当ててうようよと蠢くソレを見ながらそう言った。
「…確かに気持ち悪いわね」
「ふん。ほんに気色悪ぅもんじゃの」
冷然とした表情で、インとヨウが呟いた。特にヨウの冷然さは半端ではない。インは果てしなく無表情。そして、ヨウはその『冷然な表情』のままで『小さい人形』を下駄で踏み潰した。
『ヨウ!?』
エルクの叫びなど聞こえないかのように、ヨウはそれを踏み潰す。ばきぱきと言う不気味な音と、気味の悪い変に甲高い悲鳴が聞こえてくる。ヨウが下駄をのけると、そこには何もなかった。
02/06/22 21:35 『修正』
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02/06/23 22:55
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梧
『…面白い歓迎のしかたじゃのう』
ヨウはそう言いながら何もない方向を睨み付ける。
『もう出てきたらどうだ?…どうせそのあたりに居るのであろう?』
“その気配”に気付いたらしいヴツカが振り向き、言う。
するとその目線の先に、一人の少年の姿が現れた。
背はエルクの肩ぐらいの低さで、全体的に色素が薄く、華奢な体つきをしている、人形のような少年だった。
少なからずギョッとするリゲルとエルク。リグは警戒して身構える。
その少年はリゲルたちを確認すると、ニコッと微笑んだ。
『見つかっちゃいましたね。…僕からの贈り物…気に入っていただけましたか?』
『…気に入るワケないでしょーっ!?』
鳥肌を立たせながら抗議するエルク。
「…同感だな…」
眉を寄せながら少年を睨み付けるリグ。
「…で?なんなんだよお前は」
『あぁ。申し遅れました。僕はあなた方を食堂までご案内させていただく者です』
少年は芝居じみた動作で御辞儀をすると、顔を上げ軽く微笑んだ。
『どうぞ、こちらです』
気が付くと少年の後ろには扉が一つ現れていた。
その向こうには先が見えないほど長く続く廊下が延びていた…
02/07/06 16:06 『修正』
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えせばんくる
一向はその少年に疑問を抱きつつも誘導されてゆく。まだ先は見えない。いったいどこまで続いているのやら、果てしなく続いている気がしなくもない。廊下を照らすのはどことなくアンティーク風のランタン。4〜5mごとに薄ぼんやりと廊下を照らす。
『…ちょっと、肌寒くない…?』
リゲルは沈黙が支配する空間の中エルクのシャツのすそをツンツンと引っ張り小声で問い掛ける。
「そぉ?僕は寒いのとかちょっとくらいなら平気だからあんま気になんないけど。どっちかっていうと不気味じゃない?」
銀髪の少年(正確に言うと銀と金のグラデーションだが)を先頭に進んでいる。が、会話もなく只々乾いた靴の音が響き渡っていて不気味なことこの上ない。(まぁこういった音が好きな人もいるやもしれぬが…)
『そ…だね』
そう言うとリゲルは口を閉ざした。またあたりには静寂が戻る。
リゲルにはなんだか銀髪の少年がただの館の主であるとは思えなかった。
――何でこんなこと思うんだろう―――
ただの思い違いに過ぎない。どう考えても、はじめてあったばかりなのに。自らの記憶を見なおしてみたって彼は出てこない。
『ここです』
しばらくの沈黙の後銀の少年が口を開いたのはある扉の前だった。大きすぎず小さすぎない扉だったが見た感じしっかりしたつくりになっている。扉にはユニコーンのノッカーがついているだけで他には特に飾りつけはない。少年の持っていた小さなろうそくが揺らめきながらノブを照らす。
『それでは御入り下さい…』
02/07/16 13:49 『修正』
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管理人・闇空
目の前に広がったのは、世にも豪奢で、無駄かと思えるほどにだだっ広い……客間。
とは言っても家具は丸テーブルが1つに、イスが人数分あるだけ。ただ一つ一つがひたすら高価そうだ。絨毯の毛足は足首まできそうなほどで、それが床一面にひてある。しかもなぜか、テーブルの上にはお『茶セット』。どうやら中身は紅茶と思われる。
『…嫌な空気だ』
小さな声でヴツカがそう言った。
『…同感だ』
同意するのはリグ。エルクとリゲルと言えば…部屋の煌びやかさに唖然としている。
ただ何も喋らないのはヨウとイン。どことなく様子もおかしい。
『おや、お気に召さなかったかい? 結構イイ感じだと思ったんだけどねぇ』
「そうか?」
「私はそう思わないけど?」
突然聞こえてきた『違う』声に、リグ達は聞こえた方向へ一斉に振り向く。ヴツカ以外は、明らかに聞き覚えのある声にまさかと思う。
しかして、そこに居たのは。
『…ヨウ?』
『…イン?』
エルクとリゲルが呟いた名を持つ、その2人だけ。
しかしその表情と言ったらまったく違う。インこそたいして変わっていないが、ヨウはすさまじい。あの何があっても『邪気のない』ものが、今では他人を嘲るような、ある種傲慢な表情で腕を組んでいる。
『まぁこんな形でなんですけど、初めまして、ヴツカさん』
とインはアルの声で右手を差し出す。
『汝がアルか』
「厳密にはこの身体、インのですけどね」
握手。
『……こっちがアルってことは、お前はベル!?』
思いっきりヨウを指差して、叫ぶエルク。無論その『ヨウ』は不機嫌丸だしの表情でもってエルクを睨む。
「お前なんかに指差されて呼び捨てにされたくねぇよ」
『ぬぅぁにぃ!?』
『ちょっと君達』
割り込んできた声に、取りあえず皆向き直る。
そこには不機嫌オーラばしばしの…不思議な髪色の、ここに招き入れたあの少年。
『ボクを無視しないでくれるかい?』
02/07/29 10:31 『修正』
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梧
少年はツカツカ歩いてくると、話し込んでいるエルクやヴツカ、リゲルたちの横を通り過ぎながら言った。
『一応ボクはキミたちをここまで案内して食事の用意をするっていう使命があるんだからね?』
『そんな…使命というほどのものでもないと思うけどなぁ…』
いつのまにか喋り方まで変わっている少年に向かって、振り返りながら言うエルク。
『ボクにとっては大事な使命なんだよっ。』
少年はムッとした表情で言い返しながら、テキパキとした手つきで紅茶を煎れている。
テーブルの上には、あっという間に紅茶とお茶菓子が並んだ。
『急なお客さんだったからコレぐらいしかないけどね。食事の用意をするあいだココで待ってて。』
少年はそう言い終わると手を高く上げ指を鳴らす。
パチンという乾いた音とともに6人分の椅子が一斉に引かれた。
驚くエルクとリゲル。
『ほぅ…』と、感心の声を漏らすヴツカ。
気が付くとそこにはもう少年の姿はなかった。
『せっかくだし、お茶を頂きましょうか。』
『…喉も乾いたことだしな。』
『イン』と『ヨウ』は、既にちゃっかりと椅子に座っていた。
02/07/30 21:35 『修正』
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えせばんくる
…コポコポ…
カチャッと小さく音を立てながらリゲルはティーカップをそれぞれの前に置く。その風貌からなのかそれともただ経験があるだけなのか。カップに紅茶を注ぐ姿がどことなくさまになっている。
『ん。礼を言う』
ヨウはどっかりと椅子にこしかけ紅茶を受け取る。ヨウ…いや今は“ベル”か。腕を組み堂々としている様子から外見は“ヨウ”のものだがどう考えてもその横柄な性格はベルそのもの。どうやら煮ても焼いても化学変化が起こっても(!?)中身がベルである限りこの性格はどうにもならないらしい。
『ありがとう』
同じく“イン”に入っている“アル”も一礼する。リグやエルクは一足先にお茶菓子として出されているクッキーをぱくついていた。ヴツカはというと『最近のものは香りが一段と良くなったものだ』などと香りを楽しんでいた。
…コクン…
紅茶がベルの喉を滑るように流れてゆく。先ほどまでの喉の渇きが癒される、が……。
『…ヌルイ…』
ボソりとベルがつぶやく。その表情は目が見えないヴツカでもオーラでわかるくらいじょじょに不機嫌なものへと変化をとげる。新たな一枚を取ろうと手をのばしたエルクはその恐ろしく変化した形相を見た瞬間手からポロリとクッキーが落ちる。彼女の脳裏を不安がよぎり声をかける。
「ど、どぉーしたの…」
どうやらエルクの予感していた不安は的中だったらしい。彼女が言い終わるか否かの頃合いに机をバンッと叩き一喝。
ベル:『ぬるい!!!(怒)』
アル:『あぁ本当。ぬるいね(あっさり)』
ヴツ:『うむ…少しばかしな…』
エル:「そ…そぉ?(汗)」
リグ:『あっついよかいーんじゃねーのか?(モグモグ)』
リゲ:『これくらいなら…別にどうってことないと思うんだけど』
ベル:『いんやヌルイ。(怒)こんなんで味と香りとを楽しめるわけないだろ?(怒)』
声は一見少々落ち着いたものだがどう見ても形相はほぼ100%不機嫌モード突入しかけ。片足つっこんでるって感じ。
『で…でもすでにお湯入ってたんだから。その…冷めたのかも』
『こんな短時間でティー・コーゼ(保温させる布)がかぶったポットが冷えるか。(怒)どー考えたってはじめからヌルイにきまっているだろうが』
02/08/19 23:51 『修正』
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梧
『ボクはちょうどいいと思うけどな、…口に合わなかった?』
突然現れたのは、真っ白な衣装に身を包んだ人間だった。
男か女か分からない中性的な外見に、銀色から黄金色に流れる長い髪。華奢な体型をしているその人物は、まるで硝子細工のようだった。
6人の視線がその人物に集中した。
『…誰?』
エルクが訊くと、気が付いたように微笑み、御辞儀をする。
『ボクはこの屋敷の主だよ。来てくれてありがとう。ずっと暇を持て余していたんだ。心から歓迎するよ。』
『…しかし我らはここに迷い込んでしまっただけだ。何故このように歓迎されるのだ?』
確かに、此処に来たことは単なる偶然のはずだし、会ったこともないはずだった。
その人物は無邪気そうな笑顔で答えた。
『久しぶりのお客さんだからさ。さっきも言ったように暇を持て余していたからね。こうやってもてなすのも楽しいし。今日はゆっくりしていってよ。』
「俺は反対だ。」
突然、リグが言い放った。
「大体、こんな薄気味悪ぃところに迷い込んだだけでなく、見ず知らずの、…名前すらわからねぇ奴のところになんか居たくねぇよ。」
横からはおずおずと仲裁に入るリゲル。
「…でもリグ…、確かにそうかもしれないけど、せっかくの好意なんだし…」
『そうだよ。それにキミたちだって、ここから先へ進むことは、まだできないんじゃないかな?』
『…どういう意味だ…?』
『この屋敷は時空の狭間みたいな場所に建っているからね。外に出るのは難しいよ?』
「…つまり、俺たちを閉じこめたってわけか…?」
『そんなことはないよ。ボクはちゃんと外に出す気だよ?でもね、ボクもここずっと外に出てないから、外に通じる扉がどこにあるか忘れちゃったんだ。』
『…ってことは、僕たちずっとここから出れないってことぉ!?』
エルクが少し泣きそうな顔になる。
『いや?一つずつ扉を開けて確認していけば見つかるだろうけど。ただ、この屋敷は広いからね…』
「…どっちにしろ、そのあいだここに居なきゃなんねぇってことか…」
リグは、苦虫を噛み潰したような表情になる。
『そう。だからその出口を探してる間、ボクのもてなしに付き合ってほしいんだ。それなら…文句ないよね?』
そしてその人物はまた、にっこりと微笑んだ。
02/08/26 23:52 『修正』
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えせばんくる
『ぁあ、そっちがその気ならやってやんぜ!』
リグはそう言うと踵を返し足早に扉の方に歩み出す。…と。
「ぁ…!まって〜。僕も一緒に行くよ?二人の方が早いと思うしなんかあったとき安全だし…」
【ぐぅいぃっ!】
『ぐぇっ!』
座りながらとっさに延ばしたエルクの手は服を空振ってあわてた拍子に彼の青い髪を思いっきり引っ張ってしまった。やはりその反動で仰け反るリグ。
「あ…;ごめん」
パッと手をあけるとリグは倒れかけるがいそいで体勢を立て直した。
『なにすんだ!(怒)』
先ほどからのイライラが彼の心を逆なでする。
「だってひとりでがむしゃらにやってたって仕方ないことでしょ?」
久しぶりにエルクがまともなことを言った。(「久しぶりにって余計なんですけど…;」)
『僕も一緒に行くよ。人数は多いほうがいいよね。』
だがリゲルが言いきった瞬間屋敷の主が口を切った。
『ねぇ。そう言ってどんどん抜けられたら誰がボクのもてなしに付き合うっていうんだい?』
エルクたちが勝手に話を進めているのが少し気に入らないらしく腕を組んでちょっとムッとした様子。
『でもそうだね。この屋敷は広いから2人くらい抜けるのは仕方ないかな。でも2人まで。それ以上は認めない。だってそんなに人数抜けちゃったら話しが盛り上がらないじゃないか。』
するとリゲルは少しシュンとした表情で口を開く。
『じゃあボクはここに残るね。また足手まといにはなりたくないから…』
「いつそんな事になったよ?んな事別に気にしなくっていいよ☆」
【ぼそっ】『お前ほど気にしない奴もどうかと思うんだが…』
【ギリギリっ】「…聞こえてるよ♪(怒)」
リグに言われた瞬間放たれた弓矢の如くエルクの手がリグの腕を捕らえる。顔はあくまでにこやかに笑っているがどうみてもこめかみの青白い縦線と浮き出た血管は隠しようがない。しかも何気に馬鹿力なエルクくん。流石のリグもこれは痛いと見える。いっそいで振り払うと屋敷の主人の方に向き直る。
『んじゃメンバーけってーって事でいいんだな』
02/08/27 11:11 『修正』
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管理人
「却下。」
突然の『否』に、その場にいた全員が発言者――アル(身体はインだが)に視線を向けた。
「リゲルもつれいきなさい」
きっぱりとした、反対を許さない声音。
しかし。
『なっ、それじゃぁ3人になってしまうじゃないか!』
すかさず反対したのはもちろん――この屋敷の主。
アル:「そうだね」
しれっ。
『……っ!』
怒りの気配と共に、強い魔力が立ち上る。しかしアルは気にした風もなく、「はやく行け」とリグ・リゲル・エルクを止める間も無く外に出してしまった。
『勝手な事を…っ!!』
瞬間、魔力が膨れ上がり――
『……あれ?』
とまった。
驚いているのは魔力を膨れ上がらせていた屋敷の主。余裕しゃくしゃくなのはアルとベル。ヴツカは静かに観戦(?)中。
「あなたの魔力、すこし物騒だから」
「この部屋にちっとだけ細工したんだよ」
いつやったかはかなり謎だが、どうやらそう言う事らしい。
屋敷の主はすごい目つきで2人を睨みながら、席についた。
(『…嫌な空気だ』)
ヴツカは静かに…静かに、そう思った…。
02/08/27 22:03 『修正』
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えせばんくる
【バタン】
アル(イン)にせめたてられるようにして部屋から転がり出る。かなり膨張していた魔力ははたして炸裂したのか否か…気になるところだが今さら戻ったら(めずらしい…?)アルの足止めは水の泡と化してしまう。3人はとっととワケのわからない主人から遠ざかるべく遠方にある扉から確認することにする。
【カツッ…カツッ…カツ…】
このような3つの音が廊下にこだまする。ところでいきなり飛び出してきたのだからランタンもなにももってるわけないと御思いの方は多いでしょう。(ほんとか…?)ランタンもってなくともライトくらいの呪文ならエルクくんでも余裕で唱えられますよ。光源は彼女がクリスタル界(?)で前に拾っていた水晶にしてみた。別にわざわざ光源など作らなくとも、光をその空間に作ってしまう呪文なのだが水晶に光を宿らせたらどんな風になるのか試してみたかったらしい。結果…
「うっわぁ〜きれいだなぁ…」
『ほんとだねぇ〜』
エル・リゲのカップルはすっかりその輝く水晶に魅了されてしまった。水晶全体が光り輝いているが瞳で直接見ても痛くない。くるくるまわすとキラキラと輝く。
「ほんと、目に入れても痛くないってまさにこの事かも〜」
『ねぇ…』
ほぅっ…とため息をつきながらうっとりと水晶をまじまじ眺める。足はとりあえず動かす。呪文をかけたときに感動しすぎで動けなかったら後ろから『いいかげん見とれてないで、はよ歩け』という言葉とともにリグにつつかれた。今でもふたりが立ち止まりかけるとわざとなのかたまたまなのか、かかとをふんずけられる。
そうこうしているうちに最端の扉へとたどり着く。
『よし。開けんぞ…』
「オッケーっス!」
『…。(こくり)』
エルクはロッドを構える。リグはふたりに確認をとるとドアノブをひねった………。
【がちゃり…。】
02/08/27 23:15 『修正』