目の前を彩る、赤、紅、朱。
 迸るほどに、滴り落ちる生命の水。
 既に、これ以上無いと言う程に傷ついたその身体に、容赦なく襲い掛かる剣の切先に、
 更に傷つき、溢れる赤い色。
 それでも、私を支える左の腕だけは、―――決して力を失う事が無く、て。


 弄るように、遊ぶように、何度も銀の光が走り、
 その度に恋次の身体が紅に染まる。
 まるでそれは赤い雨のように、辺りを朱く濡らしていき、
 堪らず膝をついた恋次の左手は、それでも決して力を緩めなかった。


 
 もういいから。
 これ以上、お前が傷つくのは見たくないから。
 私のせいで、お前が傷つくのは見たくないから。
 ―――もう、充分だから。
 僅かの間、お前の腕に居られたから。
 その僅かの間が永遠に思える程、私はとても幸せだったから。
 だから、もう、大丈夫だから。

 

「待って下さい、藍染隊長―――」



 私が逝けば済む事だから。
 お前の生命を犠牲にして、ほんの少し生の時間を延ばしても意味は無い。
 私が今ここであの男の下へと身を委ねれば、お前の生命が助かるというのなら、
 私は望んで自ら生命を捨てる。
 お前が助かるというのならば、私は笑みさえ浮かべて死ねるだろう。

 


「私が―――」






「黙ってろって言った筈だぜ」





 全身を朱に染め。
 流れる紅は止まることなく。
 膝をつき、荒い呼吸の中で、私を抱く左の手だけは決して力を失わず。
 恋次は―――笑った。
 私を真直ぐに見据えるその瞳の強さ。
 左手に込められた力の強さ。
 




「放さねえぞ」





 言葉に籠められた、想いの強さ……。





 戻っていく、還っていく。
 私達の「時」は、あの「時」へと還る。
 何度も後悔したあの「瞬間」へと。
 離してほしくはなかった、行くなと言ってほしかった、あの瞬間。
 離れたくないと、行きたくないと言いたかった、あの瞬間。





「誰が放すかよ、バカ野郎が……!」





 そして―――道は再び、一つに戻る。
 




 私が恋次の生命を犠牲にして生き延びたくはないように、
 恋次も私の生命を犠牲にして生き延びたくはないのだ。
 




 もう独りではいられない。
 恋次としか、生きられない。





 ―――離れない。





 二人どうなっても、もう二度と、決して。
 私は決して離れない。
 だからどうか―――この手を離さないで。
 いつまでもずっと離れないで。
 ずっと―――このままで。





 あの男の振り被った凶刃から庇うためだろう、恋次の腕が更に私を抱き寄せる。
 



 
 銀色の光が走るのを、
 恋次の腕の中で―――恋次の胸に抱かれながら、
 私は―――まるで夢のように見て、いた……。
 

 

 





この後、一護登場ー(笑)

本日のジャンプの、司城の勝手なルキア視点。
もうなんというか、書きたい、書きたいという欲求が強すぎて、何書いてんだかわからなくなるほどでした(駄目じゃん)

先週、先々週のジャンプを見てどうなる事かと思いましたが、本当に良かった。
まだ全てが安全、という訳では勿論無いけれど、一護とのタッグで乗り切ってほしい。

てか、一護来たから「じゃ、後は頼むぜ!」と言ってルキア抱えて安全な所へ行きますか(笑)

恋次はルキア離せないから……一体どうやって戦うつもりでしょう。
恋次、ルキア抱えたまま攻撃してたけど、ルキア大丈夫だったのかなあ(笑)
「いたたたた!」とか「た、高い!!怖い!!」とか……言ってないよ(笑)
そんな余裕ないよね(笑)


もう幸せでハイテンションです。
このままずっと恋ルキになるといいなあ。


では、勢いのままに書いてすみませんでした!


2005.4.4  司城 さくら