あれから私の手首には
鉄の金具が付いている。
とはいえ、トイレにもバスル〜ムにも自由に行けるし
大体、体は恋次が隅々まで丁寧に洗ってくれるから
実家で使用人達に世話をやかれていた時より
むしろ王女然と扱われて
なにか、おもはゆく
「変なの」
と言ったら
恋次は面白そうに
「まあな」と笑った。
ずっと、こうしたかったから、と。
お前を捕まえて誰の目にも触れさせたくなかったし
触らせたくもなかった、と。

恋次は毎日
高価な服や宝石や花束、
私の好きな本やCD、数え切れない贈り物を抱えて
この部屋に帰って来る。

兄様に連絡しなくては。
「このままでは…」
目に見えている近い未来。
最早、知られているのかも知れない。
事は動き出しているのかも知れない。

私がリアルな響きをもって言葉を紡ごうとすると
決まって恋次は私を抱いて
話を中断させる。