「これは何ですか、雨竜」
 学校へと向かう道すがら、「はい」と手渡された物に首を傾げてネムは尋ねる。
「手袋」
「てぶくろ?」
「寒くなってきたから」
 言葉が無愛想になっているのは決して不機嫌だからではなくて、ただ単に照れているだけの雨竜である。思いついて昨夜一晩で編み上げたとはちょっと言えない。
 黒いモヘアの手袋を見て、ネムは頬に押し当て、「やわらかくて気持ちいいです」と嬉しそうに微笑んだ。
「雨竜の分はないのですか?」
「うん、僕は別に」
 ネムはしばらく考えると、「はい」と右手の手袋を雨竜に渡すと、自分は左手の手袋をその手にはめた。
「半分こです」
「いいよ、君の右手が冷たくなるだろ」
「大丈夫です」
 ネムは雨竜の左手を取る。
「こうして手を繋げば、手袋していない手も暖かいですよね?」
「………………うん」
 手どころか顔まで、暖かいどころか熱くなる雨竜だった。








正解者=ネム、と言う事で。ネムに拍手!
……強引過ぎますか、はい、わかってます(苦笑)