この何十年という長い間、私達はそれぞれが傷ついていた。
 二人離れているという、唯それだけの―――私達にとってはとても大きな理由で。
 

 もう二度と戻れないと思っていた。
 私達を取り巻く物はとても大きくて重くて、微小な私達にはどうすることも出来ず、身動きの取れぬまま、ただ過去の想い出を追い続けていた。


 そしてその長い別離の間に、心は離れてしまったと―――諦めて、いた。


 けれど私を呼んだお前の声は昔のままで。
 ただ私の名前を呼ぶその声だけで、お前の優しさが伝わった。


 生を諦め死を覚悟し、過去のみを胸に独り逝こうとした私の、失くした未来への道を提示してくれたお前。


 ならば、私も夢を見よう。
 叶えるための努力をしよう。


 想いを願いを口にする。
 それが私の、諦めた未来を取り戻すための第一歩。






「―――お前の傍で、生きていたい」