とろりとした液体の中を堕ちていくように、ゆっくりとしか流れない時間の中、俺は独り夜の闇に立ち尽くす。


 いつも感じていた気配が感じられない。
 逢えない時も、そこに在ると―――此処に居ると確信できたその気配は、10日前にふつりと消えてその時から欠片も感じない。
 ―――こことルキアの居る場所は遠すぎて、ルキアの気配が掴めない。


 人に馴染む事の苦手なルキア。
 孤独に怯えるルキア。
 だから俺が護らなければ、と思った。
 ルキアの傍にいなければ、と。
 ルキアは俺を必要としている、と。
 ―――けれどそれは間違いだった。


 ルキアの声が聞こえない。
 ルキアの姿が目に映らない。
 ルキアの気配を感じない。
 その事実に打ちのめされる。


 本当に必要としていたのは、―――俺の方だ。


 今更気付いてももう―――遅い。
 時は戻らない。
 ルキアはもう―――戻らない。


 最後に触れたルキアの肩のぬくもりも、この手から既に消え果てた。
 残るのはただ―――後悔の念。


 この胸に巣食う大きな空洞は、決して何物にも何者にも埋められない。


 ―――それが出来るのは、唯一人。









本当に相手を必要としていたのは、恋次だったと思います。(そのままじゃん)
いなくなって初めて、自分の心の全てを占めていたと気づいたのでは、と。
ルキアの幸せのためになら耐えられると思っていたのに、全然そうじゃなくて、愕然としている恋次を書きたかったのですが、文章力なくてすみません(苦笑)