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いずれも古い話ですが、新聞小説に登場し、しかも挿画に描かれたルパンを御紹介します。
一つは、1948年7月〜10月に朝日新聞に連載された、船山馨・作「人間復活」の何と第1回に登場します。
この小説はまた曰くがあって、太宰治の「グッド・バイ」が自殺で中断し未完となってしまったため、
急遽予定が繰り上がって起用されたものです。
タイトルが太宰治の「人間失格」と対をなすようなのは、そんな理由からでしょうか。
この挿絵に描かれているスタンドを見れば、まさしくこの場面がルパンと判りますし、
この場面のバーは「グロスター」と言って、この名前は店名を「ルパン」に決める前に候補だった名前なのです。
本作は、1949年に単行本として実業之日本社から出版されました。
当時の世相を覗わせるひどい紙質の本ですが、反って少ない情報に飢えていた時代を思い出させてくれるようです。
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