人気のコミックスがMOOKになりました

 「文豪の食彩 ビジュアルBOOK   日本文芸社・発行 838円+税



 「文豪の食彩」は日本文芸社発行の人気コミックスで、最近テレビドラマも製作され、BSジャパンで放映が始まりました。明治から昭和に掛けて生きた文士達とその作品を、「食」の切り口から解き明かす、ということがテーマになっています。

 この度発売された本誌は、「食を通して描く文豪探訪記」というサブタイトルの通り、コミックスやテレビドラマでは、表現手段や時間の制約のため描き切れなかった文士達の「食」を巡るエピソードなどを、もっと詳しく、読みやすく紹介しております。

 登場する文士は、谷崎潤一郎・夏目漱石・正岡子規・樋口一葉・永井荷風・芥川龍之介・太宰治、の7人です。


 ルパンが縁の深い太宰治は第7章で、「太宰治の“食”を読み解く」とタイトルされています。その中身は以下の通り7つの節に分かれています。
  • 太宰も食べた奥多摩の蕎麦・玉川屋
  • 太宰治と“鰻” 太宰治が必ずいた三鷹の店
  • “太宰治”と“津島修治”の食の違い
  • 新婚の太宰治が住んだ三鷹の家とその界隈
  • 太宰治の“故郷”津軽、食紀行
  • 太宰が銀座のバー「ルパン」で撮影された夜
  • 最晩年の太宰治
 この他に、
  • 太宰治記念館「斜陽館」
  • 太宰ゆかりの店「若松屋」
と言う2本のコラムがあります。


 本誌の出版元・日本文芸社には、以前「荷風」という大変ユニークな出版がありました。「時を超えて遊ぶ、大人の時間旅行ガイド」というサブタイトルを持ち、文字通り「永井荷風」の足跡を追っていろいろな場所、いろいろな風俗を訪ねて行くものでした。本誌は、この先達の流れを受けたもののように思われます。

 本誌では上記の通り、太宰治とルパンについては、1つの節が設けられ、2ページが割かれました。筆者の壬生篤さんは、2005年6月号の「荷風」の特集「荷風の銀座を探す!」でルパンにお越しになり、当時のマスター・高崎武を取材されました。今回の記事でも、その時の再録も含め、写真家・林忠彦が太宰治を撮影した時の様子を、大変細かく、生きいきと再現して下さっています。


 他の文士の方々の章も、大変興味深く、面白いものです。それぞれのファンの皆さんには、是非お勧めいたします。