小津安二郎作品の再現シーンが、ルパンで撮影されました

 「BRUTUS」 2013年12月1日号 マガジンハウス発行 630円



 映画監督の小津安二郎氏は、ルパンと大変縁の深い方です。1933年から1963年までの日記が、「全日記 小津安二郎」として出版されていますが、その一節…………

1933年12月31日(日)
 内田岐三雄から電話がかゝつて来て ヱスキモで会ふ
岸松雄同行
 富士之里→助六→
ルパン
 
成瀬巳喜男来る 泥酔
 1933年 Bon Boyage!
1934年1月1日(月)
 銀座うらの酒場ルパンで……
 酔から目がさめるといつのまにか正月元旦だ
 ほのぼのとした銀座を岸松雄 成瀬巳喜男とあるいて帰る

 …………このように、小津監督はルパンに泊まりこんで新春を迎えるほど、ご贔屓下さった方だったのです






 マガジンハウスの「BRUTUS」2013年12月1日号で、その小津安二郎の作品へのお誘いが特集されました。
 タイトルは
「小津の入り口」

 「小津安二郎に未だ踏み込めないあなたへ。食わず嫌いの人も、観始めると眠くなってしまう人も多いはず。そんなあなたのために発見しました、小津の入り口。」


 こうしてスタートするこの特集は、いくつかの切り口から小津作品の魅力を掘り起こし、その再現を図って行きます。


 切り口の中で一番重要なのは、何と言っても「画作り」でしょう。小津の「画作り」と言うと、「ローアングル」が有名ですが、今回再現に取り組まれた写真家のホンマタカシさんは、それと共にライティングの重要性を指摘されています。


 1957(昭和32)年制作の小津作品「東京暮色」の再現シーン撮影がルパンで行われました。ルパンの店内での撮影は、普通は1時間位で済むのですが、今回のお話を頂いた時、午前中から夕方まで、と言うことだったので、これは何故だろう、と思っていました。
 当日、持ち込まれた機材の大きさと多さ、スタッフの方々の数の多さに驚きました。そして、掲載された2シーン3カットの撮影に、お約束通りの時間が掛かりました。原作品の再現のため、当時の照明機材を使い、小津演出そのものを再現するかのように、何度も何度も試行錯誤を繰り返しながら、撮影は行なわれて行きました。




 そして、下の画像の通り、ルパンも1950年代の姿を見事に再現して頂きました。