「昭和の大作家たちが通ったバー」の一つとして、紹介されました

 「メンズ プレシャス」 2013年春号 小学館発行 920円



 小学館の「プレシャス」誌は40代を中心とした女性に大変人気の高い雑誌です。その増刊号として、年に4回季刊の形で「メンズ プレシャス」が発行されています。誌名の通り男性が対象で、「プレシャス」の姉弟誌だけに、「ブルーノートのLP」や「ハコスカGTR」といった言葉にワクワクする「大人のオトコ」を狙った編集になっています。この度発売された2013年春号で、創刊3周年を迎えました。

 「メンズ プレシャス」の記事はファッションが軸で、今号では「今年もこだわる男は“ネイビーダンディ”で行く!」と言うタイトルで、「紺」の衣料品やバッグ・靴などの雑貨が大特集されています。もう一つの柱の読物では、銀座「壹番館洋服店」店主・渡邊明治氏のインタビューや、「文士に学ぶ酒飲み流儀」と言うタイトルで、昭和の作家と彼等が通った酒場との縁の特集があります。

 登場するのは三島由紀夫と湯島「琥珀」、山口瞳と新橋「ジョンベッグ」、中上健次と新宿「ダグ」、池波正太郎と横浜「パリ」、そして織田作之助と銀座の「ルパン」です。
 写真家・林忠彦が撮影した太宰治の写真が余りにも有名になってしまったため、「……織田作之助を撮っていると、奥に座っていた酔っ払いが大声で、俺も撮れ!とわめいて、それが太宰治だった……」と言うように、ルパンではやや脇役的に言われることが多い織田作之助です。
 しかし、彼は35歳と言う若さで亡くなったため、僅か10年余りの文筆活動でしかなかったのですが、その短い間に、有名な「夫婦善哉」を初め、芥川賞候補になったり文藝賞を受賞した数々の名篇を生み出しています。大阪生まれで大阪を舞台とした作品が多いため、関西では人気も知名度も高く、特に2013年は生誕100周年であるため大いに盛り上がっているようです。「メンズ プレシャス」が取上げたのも、そんな背景のためでしょう。

 ルパンは、織田作之助と共に見開き2ページで紹介して頂きました。A4判よりも大きい判型の見開きは大変な迫力で、思わず見とれて圧倒されます。本誌は季刊ですので、当分は本屋サンの店頭に置かれていることでしょう。是非ご覧下さい。