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広島でテレビ朝日系列の放送をしている広島ホームテレビ、その自主製作番組がルパンで収録されました。
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番組名は「アグレッシブですけど、何か?」。“無意味や無価値と思われることにでも積極果敢に挑戦し、価値や意味を見出していく、努力型バラエティー番組”だそうです。
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今回の企画は「偉人すごろく」。通りすがりの人に自分が思う「昭和の偉人」を言ってもらい、その足跡を辿っていこうというものです。
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広島ローカルタレントの中島尚樹さんが、広島駅前で質問した若者の思い浮かべた「偉人」は太宰治。
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中島さんは、太宰を追って東京へ向かいます。
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たどり着いたのは三鷹で、「太宰治文学サロン」を訪ねます。
太宰行きつけの店を三鷹に探しますが、現存するものは何もなく、そこでルパンを紹介されます。
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(以下科白)
「あのー三鷹には無いけれども銀座にね、ルパンっていうバーがあります」
「ルパン?」
「はい。あっ、あの写真ですよ。あの写真」
「どれどれ…………おぉ」
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椅子に座っている太宰治。この写真が撮られた場所こそが太宰行きつけのスポット、銀座のバー・ルパンなのだ。
「ここ凄い有名ですもんね。僕でも見たことありますもん、この写真」
「そうでしょ」
「ええ」
「行った方がいいですよ。太宰治を探すんなら」
「わかりました。これ行きましょう」
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文学サロンで教えられた銀座のバー・ルパンを目指す中島。
しかし一向に店の看板が見当たらない。
すると……。
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「あった!」
そう太宰が愛したバー・ルパンは、銀座のビルの隙間にひっそりと佇んでいたのだ。
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早速中島はバー・ルパンの中へ潜入。薄暗いこのバーにはいったいどんな空間が潜んでいるのか?
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「ほぉ、カッコイイ」
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「どうも、ごめんなさい。あのー……どうもどうも。凄い、オシャレな……雰囲気のお店でございますな」
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この銀座ルパンが開店したのは、昭和3年。
多くの偉人たちが集い、まさに昭和という激動の時代を共に歩んできたバーなのである。
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「どこへ座ったらよろしいですか?」
「太宰治が座ったという席は、一番奥の方になります」
「奥だそうでございますよ」
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早速中島は、文豪太宰治が座っていたという席へ。
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「はあー。凄い『太宰席』ですって。ちょっとよろしいですか。よいしょ……。どうですか、これ?太宰席。」
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「これが太宰さんですけれども、他にも……」
「ええ」
「多くの方々がいらっしゃっているんですか?」
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「編集者の会社が全部銀座にあるので、皆さん、大体こういう所を事務所代わりに使っていたんですね」
「そうですか」
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「まぁあの、川端康成さんとか」
「おぉ」
「あるいは岡本太郎さんとか」
「岡本太郎さん!?」
「ええ」
「はぁ歴史があるんだ……」
「そうですね」
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「じゃあもうこれどうしましょう。何か同じ物を、頼んだりしましょうかね?」
するとルパンのマスターが何かを取り出した。
「こちら……。これが昭和3年から使っているグラスなんです」
これは昭和3年の開店当初から、ずっと使われ続けてきたグラス。
そう、太宰治もこのグラスで酒を飲んだのだ。
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「太宰とか坂口安吾とかと間接キッスと言って、結構これでお飲みになる方もいらっしゃいますね」
「凄い、間接キッスですって!ともすれば、本当にストーカー的な……あららららら、そうなんだ」
感性が豊か過ぎたが故に死に急いだ太宰治。
そして今、時代を超え、そんな太宰治の愛した一品が甦った。
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「太宰と間接キッス。いただきます。…………はぁーっ」。
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「じゃあ、中島さん」
「はい」
「太宰治になりきって、一言」
「グッドバイ。…………どうですか?きましたよ、これ」
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「どういうことです?」
「もうこれ太宰治さんが、絶筆になった最後の作品のタイトルが『グッド・バイ』。
書いている最中に、もう心中しちゃっていますから。
いろんな理由を付けたり、いろんな物語を付けたがるんですけど、言わせて下さい。ええ。自殺はダメ、絶対!」
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「中島さん」
「ん?」
「ルパン、行ってきましたけれど」
「ええ」
「何か盗まれました?」
「ええ……。彼は私の心を盗んでいきました。……『カリオストロ』と掛けているんですけれどね。
もう本当にこうちょっと、ハートを奪われちゃいましたね。ええ」
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