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作家・猪瀬直樹氏は、2000年に太宰治を描いた小説「ピカレスク 太宰治伝」を発表しました。
この作品が2001年夏に映画化され、翌年公開されました。
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この映画製作の際、ルパンでも一場面を撮影したいとのお申し出があり、喜んで御協力致しました。
2002年の公開時には勿論拝見して、林忠彦撮影の太宰治像を模した冒頭のシーンや、
ルパンのマッチが大映しされるカットには本当にビックリ致しました。
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当時は、ルパンもまだWEB上にHPを持っておりませんでしたので、御紹介しようがなかったのですが、
最近この作品のDVDを手に入れました。
大変遅くなってNewsでは全くありませんが、是非御紹介したいと思います。
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(以下科白)
「つまり凡庸さというのは良心的に生き延びる為に不可欠な要素なんだよ」
「良心的とは穿った言い方だね」
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「しかし実際時局とか情勢とかいう言葉でこれは安易な言葉だよ」
「つまり、精神が老化すれば人間は次第に亜流として生きることを選ぶ。そういうことだろ」
「そうだ 感性の死滅だよ」
「そうそうそうだ」
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「そういえばジョン万次郎って石井研堂の中浜万次郎が種本らしいな」
「山椒魚だってシチェドリンの……」
「おいおい」
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「津島の家ももう昔のようではないそうじゃないか。もう困った時の実家頼みは当てにならないのだよ。
こんなようじゃ僕責任は持てないね、太宰君」
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「自分はどうしょもないんです」
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この最後のシーンの奥の方に、ルパンのマスターだった高崎武の姿があります。
こういう映画作品に、その店の者が入っていることは大変珍しいことです。
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(2003年1月3日放映「秋刀魚の味」)

(2009年9月6日放映「官僚たちの夏」)
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太宰治役は河村隆一さん、井伏鱒二役は佐野史郎さんです。
ルパンで映画撮影やTVドラマ収録が行われるのは滅多にない、大変珍しいことなのですが、大変不思議なことに、佐野さんは再三出演されています。
2003年には小津安二郎作品の一つ「秋刀魚の味」のリメイク、2009年は「官僚たちの夏」でルパンに登場なさいました。
何か御縁のある役者さんのようで、こういう御縁は大切にしたいと思います。
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